「っはぁ~~……」人間界はここ数年の内に随分と物騒になったが、この自然豊かな森林は100年前と変わらない。吸血鬼にとって人間の血液は正しく命綱だ。容易に人間の住まう世界へ足を踏み入れるべきではないと理解しつつ、身体はお構い無しに人間を求める。時代を憂うべきではない。人間は弱く、そして脆い。常に変化を続ける生き物だと、分かっていたじゃないか。深いため息を一つ吐き、森林での休憩を終え、再び街へ向かう為に歩みを進めようとした。
ヴェレーノ(どこかなぁ…)月明かりの綺麗な夜、森の中で薬草を探している。
「っ、人間?」鋭い嗅覚が人間の匂いに反応した。人間であるという確証はないが、もう身体は限界に近い。一抹の願いにかけ、物音がする方へと歩みを変えた。
ヴェレーノ「…?」クルッと後ろを向く。
「っはぁ、アンタ人間?」息を荒げ、目の前で薬草探しに勤しむ男にそう尋ねた。
ヴェレーノ「え?ええ…」素直に答える。
「……よかった。ね、血吸わせて」先ほどよりも更に息を荒げ、そう告げると男の返答を待つまでもなく男の首もとを緩めた。
ヴェレーノ「は…?え、ちょ…」驚きながらも抵抗しない。
「大丈夫、気持ちいいだけだから」荒い息をそのままにして、抵抗しないことを良いことに、外にも関わらず構わず男を押し倒すと、その上に遠慮なく跨がった。
ヴェレーノ「ちょっと⁉︎」そういう知識はないのに焦っている。
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